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米国居住者のユーザビリティ試験結果は世界を代表するのか?

米国と欧州ではユーザーの製品の操作に影響を与えうる大きな違いがあります。米国居住者のユーザビリティ試験結果を市場間で共有できるか、考慮すべき点を示しました。

2 cartoon people working together

August 17, 2022

米国食品医薬品局(FDA)は、ヒューマンファクタ(HF)バリデーション(総括的)試験を米国居住者で行うよう定めています。その一方で、欧州医療機器規則(MDR)、IEC規格62366-1では、HFバリデーション(総括的)試験を特定の地域や特定地域の住民で行うようにとは定めていません。このように、FDAは米国居住者以外の参加者のデータは受け付けない一方、欧州ノーティファイドボディやその他の規制当局は、米国居住者のデータも受け付けています。そのため、米国を含む複数地域の市場で製品を販売したい事業者は、米国でのみHFバリデーション(総括的)試験を行うことが多くなります。 

そしてその結果のデータは、欧州(やその他地域)での申請に使用されています。このようなデータが果たして現地の意図するユーザーを真に反映したものだと言えるでしょうか。一言で回答するなら、どちらとも言えません。米国住民が全ユーザーを代表している場合もありますが、そうでない場合もあります。このブログでは、欧州に焦点を当てますが、その他の市場にも当てはまる事案です。  

米国と欧州では、ユーザーの製品への接し方に影響を与えそうな大きな違いがいくつかあります。考慮が必要なポイントを以下に紹介します。  

  • 医療制度と臨床診療  米国と欧州の医療制度と臨床診療には大きな違いがあります。例えば、アクセスのしやすさ(費用や距離)、臨床診療の方法(皮下注射の部位を消毒するなど)、担当するスタッフや特定の手順などで違いがみられます。   

  • 環境(サイズ、使用年数、レイアウト) 使用環境はどうでしょうか。  家庭、学校、病院は一般的に米国のほうが欧州よりもスペースが広くなっています。電気コンセント、照明スイッチ、窓の開閉メカニズムも異なります。 

  • 文化(言語、教育) 言語は明らかに違います。ラベリングや取扱説明書の翻訳は、適切な評価が行われていないと、不正確な場合があります。識字や教育のレベルも地域によって差があり、ユーザーがどの程度説明書やラベリングを理解できるかに影響します。メートル法とヤード・ポンド法の使用についてはどうでしょうか。ほとんどの医薬品はメートル法の表示を採用しているので、メートル法を採用している地域のユーザーのほうが、データを簡単に理解できます。  

上記のほかにも、地域によって、製品への期待やその使用に差があります。簡単に言うと、現在エンドユーザーがよく目にするタイプの製品かどうかということです。例えば、医薬品や医療機器の広告は米国のほうが欧州よりもかなり多いです。また、米国で多くの製品やデザイン(医療用でもそれ以外でも)があって欧州では少なかったり、その逆だったりします。  

このような違い(他にもあるかもしれません)が使用関連の問題につながるでしょうか? この答えも、どちらとも言えません。製造業者の判断にかかっています。ただ、ひとつ考えておきたいのは、使用関連リスクにつながる可能性のある違いがあるかどうかを、製品の市販前に把握しておくのと、後で知るのと、どちらがいいかということです。  

市販前に潜在的な使用の違いに気づいていなかったら、ユーザーの不満、苦情、そしてもしかしたらリコールにつながる可能性もあります。そうなると是正するのにコストも時間もかかります。  

実は、これらの違いや懸念の多くは、製品開発の早期で対象市場をより深く理解し、検討することで最小限にできるのです。   リサーチや形成的評価・試験を通して問題を特定し、参加者の同等性を示すように計画をよく練ることで、米国のみのバリデーションでも正当化できることも考えられます。 

では、どのような評価を実施すれば、米国住民が別の市場のユーザーの代表にもなるかどうかを決定できるのでしょうか。    

  • ユーザーと使用環境のリサーチ  異なる地域のユーザーと使用環境をリサーチし、背景や関連する特徴の違いを特定します。  

  • 早期のリサーチ 早期のユーザビリティリサーチで、異なる市場で相反するデザイン要求事項があるかどうかを確認します。  

  • 形成的ユーザビリティ調査 形成的ユーザビリティ試験を欧州と米国で実施し、地域の特徴により発生する使用関連問題に違いがみられるかどうかを検証します。 

これらのアクティビティで集めたデータは、市場の同等性を決定するのに役立ち、米国で実施したバリデーション(総括的)試験のデータを欧州の申請に使用する正当性を確認できます。 

しかし、すべての作業がすでに終了してしまっている場合はどうしたらいいのでしょうか。製品設計が済み、バリデーション(総括的)試験も完了していたら、ユーザーの特徴を比較して信頼度を測ることはできるでしょうか。できるかもしれません。ユーザーの特徴、行動、環境、現行の臨床診療などを徹底的にレビューすれば、あとからでも、総括的ユーザビリティ試験の参加者がよくユーザーを代表していることを示せる可能性もあります。ですが、そのような主張に十分なデータを集められるかどうかの保証はありません。  

結論としては、異なる地域のユーザーを知るしかないということです。Emergo by ULのコンサルタントは広範なユーザーや機器を対象としてユーザビリティ試験をいくつもの地域で実施してきた経験があります。今後のブログでもこのトピックについて掘り下げます。  

Jenny Collinsonは、 Emergo by UL、ヒューマンファクタリサーチ&デザイン部門のリサーチマネージャーです。Tamara Willは、同社同部門のマネージングヒューマンファクタスペシャリストです。

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