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Wiklund視点:標準作業手順 (SOP) のヒューマンファクタ適用

読み手にとって分かりやすいSOPを作成することは重要なことです。SOP作成におけるヒューマンファクタ(人的要因)の適用やスタイルガイドについてご紹介します。

Person taking notes on a clipboard while someone tests a medical device

October 18, 2022

標準作業手順書(SOP)を書くことに関するTalkingPoints記事執筆用のSOPはあったかな…? あるのだったらそれにしっかり従わないと。

しかし、SOPに綿密に従うのはなかなか大変です。すべて同じように見え、永久に続きそうなパラグラフ番号が振られており(パラグラフ8.2.11.8など)、文字が密集しています。面白そうなテキストと念入りにそろえた画像で読者の気を引き、有益で楽しいジャーニーに連れ出そうという雑誌記事とはコンセプトが真逆です。

とはいえ、SOPは重要です。従業員がワクチンを適切に製造するためなど、多くの重要な理由でSOPが作成されます。SOPは完全、正確、かつ明確であることが求められます。娯楽性は、明示的にも暗示的にも求められていません。ただし、関心をひくSOPを作成するというのは目標として理にかなっています。

ユーザーインターフェースをデザインする際、ユーザー、全体の使用シナリオ、そして重大タスクとそうでないタスクを理解することから始めます。例えば、血液透析装置、薬剤投与機器、スマホ用診断アプリのユーザーインターフェースや血糖測定器の取扱説明書のデザインをする際は、よいスタート地点です。このアプローチをSOPのデザインに適用することは理にかなっているでしょうか?答えはイエスです。このアプローチ方法で、SOPの読者を知り、以下のような適切な目標を設定することができます。

  • 読者の関心を引き、そらさない(UL Solutionsの調査では、SOP読者の20%は、SOPに目を通すのに30秒以上をかけないと推計されている)。
  • 明確で簡潔な説明をする。
  • 能動態の文章にする(例:「スタートボタンが押されます」ではなく「スタートボタンを押します」とする)。
  • 意味のあるタイトル、サブタイトルをつけて情報を見つけやすくし、読みやすさも向上させる。
  • 文字だけにせず、イラストをふんだんに使用する。
  • 手順と補足情報がはっきりと区別できるように記す。

何十ものSOPデザインの特徴を網羅したら、このリストはさらに長くなります。実際、どの企業でも、SOPデザインに関する包括的ルールを定めることが可能です。これはスタイルガイドとも呼ばれ、トーンを定めるための例を使用して説明するようにすると、優れたSOPを作成できます。(Emergo by ULはスタイルガイドや例の作成をサポートします。)

目標に合ったSOPを作成するというのは、3ステップのうちの最初のステップです。  第2のステップではSOPのドラフトを検証し、意図した通りに機能しているかを調査します。

学校での学力テストでは、生徒が質問に対して正しい理由で正しく答えられたかを評価しますが、これは認知機能検査にあたります。血液透析装置のユーザーインターフェースのテストをして、ユーザーが装置を安全に効果的に使用できているかを調べるのは、ユーザビリティ試験です。インスリンペン型注入器の取扱説明書に記載された警告をユーザーが理解したかを確かめるのは知識テストです。SOPのテストにはこれらのどの用語でも使うことができますが、ここからはユーザビリティ試験と呼ぶことにします。   

SOPのユーザビリティ試験は単純で、企業は社内リソースを使っても実施できますし、UL Solutions(Emergo by ULの親会社)などの第三者サービスを利用することもできます。

  • SOPを評価し、適切な使用シナリオと関連する重大タスクを定めます。次に、多くの利害関係者からの意見を聞いて、ユーザビリティ試験のプロトコルを準備します。
  • ユーザビリティ試験を実施します。対象SOPのユーザーを代表する6~12人に参加してもらいます。従来のオフィス、ユーザビリティ試験のラボ、実際の作業現場など、SOPの内容によって適切な場所でテストを実施します。例えば、SOPでユーザーに大型の製造機械や試験装置を操作することを指示している場合、テストは作業現場で行う必要があります。
  • テスト後、結果を分析して、SOPの完全性や明確度についての結論をまとめます。SOPの欠陥によってテスト参加者が使用エラーを引き起こしたかも考察します。
  • 論理的な最終考察で、テストで見つかったユーザビリティ問題を解決できるように、SOPを改良します。

第3のステップは、更新したSOPの最終テストです。ここで第4ステップも加えておきます。機器の市販後調査のようなものです。発行したSOPに関するフィードバックを集め、問題のトリガーや、パフォーマンスが落ちる兆候を見逃さないようにします。

SOPの作成担当者は、SOPはGood Manufacturing Practices (GMP)に必要なものというだけでなく、人々を多くの方法で助けるガイダンスをデザインする機会でもあるととらえるべきです。うんざりする退屈な仕事をやりがいや学びのある体験に変えることができるかもしれません。 

Michael Wiklundは、Emergo by UL、ヒューマンファクタリサーチ&デザイン(HFR&D)のゼネラルマネージャーです。Mark Leeは、 UL Solutions、ComplianceWireのシニア事業開発マネージャーです。

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