Skip to main content
Switch Language
  • 規制関連アップデートニュース

米国FDA新ヒューマンファクタエンジニアリングガイダンスを医療機器申請に適用

Emergo by ULのヒューマンファクタリサーチ&デザインチームが、FDAが新たに発行した医療機器向けHFEガイダンスを解説します。

FDA Logo on white background

December 16, 2022

執筆者:Emilee Stanczyk

米国食品医薬品局(FDA)は、新にHFEガイダンス文書 「Content of Human Factors Information in Medical Device Marketing Submissions,」(医療機器市販申請のヒューマンファクタ情報)のドラフトを2022年12月9日に発行しました。このガイダンスは、医療機器製造業者がFDAへの市販申請の際にどの評価情報を提出すべきかを案内しています。このブログでは、このガイダンスを要約し、申請カテゴリーと、各カテゴリーに必要な評価情報を説明します。

新ガイダンスは、FDAが2016年に最終版を発行したHFEガイダンス「Applying Human Factors and Usability Engineering to Medical Devices」(ヒューマンファクタとユーザビリティエンジニアリングの医療機器への適用)を補足するものです。上述のとおり、新ガイダンスは、市販申請にどの評価情報を含めるべきかを記していますが、ヒューマンファクタ評価をどのように実施すべきかは記載していませんので、2016年のガイダンスは依然として重要です。

申請カテゴリーと提出する評価・試験情報

このドラフトガイダンス文書には製造業者向けのフローチャートがあり、質問に答えていくと、市販申請が3つのカテゴリーのうちどれに該当するかが分かります。

  1. 既存機器を変更したことによる申請ですか?
  2. (変更機器の場合)ユーザーインターフェース、意図したユーザーや使用、使用環境、トレーニング、ラベリングに変更はありますか?
  3. (新機器の場合)使用に関するリスク分析(URRA)の結果、クリティカルタスクは存在しますか? (変更機器の場合)新たなクリティカルタスクが導入されましたか? または、既存のクリティカルタスクに影響がありましたか?

以下が3つの申請カテゴリーです。各カテゴリーについて説明、例、必要な評価情報が記載されています。

  • カテゴリー1:既存機器に変更が加えられた場合で、ユーザーインターフェース、意図するユーザーや使用、使用環境、トレーニング、ラベリングに変更がない場合です。例えば、サイバーセキュリティー機能をアップグレードし、これがユーザーインターフェースに影響を与えない場合はこれにあたります。カテゴリー1の申請には、機器の変更がなぜ変更機器のヒューマンファクタ考慮事項に影響しないかを説明したステートメントを含めます。以前の評価を利用して結論と概要を作成します。
  • カテゴリー2:クリティカルタスクのない新機器または、既存のクリティカルタスクに影響を与えない変更をした既存機器(ユーザーインターフェース、意図するユーザーや使用、使用環境、トレーニング、ラベリングの変更を含む)の場合です。例えば、クリティカルタスクに影響しないラベリング変更をした場合がこれにあたります。カテゴリー2の申請では、(新機器の場合)なぜクリティカルタスクが存在しないか、または、(既存機器の場合)なぜクリティカルタスクの追加やクリティカルタスクへの影響がないかの論理的根拠を述べます。すべてのカテゴリー2申請で、HFEレポートのセクション1~4も提出します(詳細は下記)。
  • カテゴリー3:クリティカルタスクのある新機器、または、クリティカルタスクの追加やクリティカルタスクへの影響がある変更をした既存機器(ユーザーインターフェース、意図するユーザーや使用、使用環境、トレーニング、ラベリングの変更を含む)の場合です。例えば、クリティカルタスクを行う新しいユーザーグループを追加した場合がこれにあたります。カテゴリー3の申請には、完全なHFEレポート(セクション1~8)を提出します。このレポートにはHFバリデーション(総括的)試験結果を含み、新機器の場合はすべてのクリティカルタスク、変更機器の場合は追加された、または影響を受けたクリティカルタスクについての対応を記します。変更機器でクリティカルタスクに影響がある場合で、既存のリスクコントロール対策が有効である場合は、その論理的根拠を述べます。

市販申請を提出するときは、選択したカテゴリーでFDAの同意が得られるかどうかを確認することをお勧めします。

FDA HFEレポートの新コンテンツと更新されたコンテンツ

新ガイダンスでは、HFEレポートの各セクションも説明しています。2016年のHFEガイダンスと比較すると、アップデートされたり拡張されているコンテンツがあります。また、セクション5と6が下記のとおり入れ替わりました。HFEレポートのセクションと、2016年のガイドラインからの主な変更点は以下の通りです。

  • セクション1:結論と概要 このセクションに、使用に関するリスクの概要と実施したHFEプロセスのサマリー(例:HFE分析と評価、機器ユーザーインターフェース変更、HFバリデーション(総括的)試験)、分析、結果を含めます。
  • セクション2:意図するユーザーや使用、使用環境とトレーニング FDAは「運用状況」の例を挙げて、トレーニング、あらゆる臨床現場での機器の使用、そして設定、メインテナンス、クリーニング、再処理などに関わるさまざまな面が含まれることを説明しています。
  • セクション3:機器のユーザーインターフェース 変更機器の場合、FDAは申請する変更後の機器と既存機器を表形式で比較することを提案しています。表のサンプルも提供されています。既存と変更後のUIコンポーネントの画像を示し、説明を補足することが推奨されています。
  • セクション4:使用に関する既知の問題のサマリー 大きな変更はありません。
  • セクション5:予備分析と評価 大きな変更はありません。
  • セクション6:機器使用に関連したハザードとリスクの分析 カテゴリー3の変更機器では、製造業者は変更機器のURRAを既存機器のURRAと比較分析して提出しなければなりません。機器の変更でタスク、関連する危害、リスク緩和対策が変更されても製造業者が新たなHFバリデーション(総括的)試験データが必要ないと判断した場合は、その根拠を述べる必要があります。
  • セクション7:クリティカルタスクの特定と説明 カテゴリー3の申請では、新しいクリティカルタスクに関する表を作成し、新タスクに関するHFバリデーション(総括的)試験が必要ないと判断した場合はその理由を述べます。
  • セクション8:HF最終設計のバリデーション(総括的)試験 大きな変更はありません。

新ドラフトガイダンスの採用

新ドラフトガイダンスでは、製造業者は、製品設計においてユーザーを考慮したことと、機器が意図したユーザー、使用、使用環境で安全、有効であることを、市販申請において示さなければならないとしています。これは、FDAが2016年に最終版を発行したHFEガイダンスに合致しています。新ドラフトガイダンスによる大きな影響として挙げられるのは、すでに市販されている機器への変更がわずかであった場合に、特定のHFEタスクを実施する製造業者の負担が軽減される可能性が高いということです。

製造業者の皆様には、申請カテゴリーおよび含めるべき評価情報をFDAに確認することをお勧めします。新ガイダンスの解釈や適用に関する質問は、FDAに直接尋ねるのがよいでしょう。

Emergo by ULは新ガイダンスについてのウェビナーを2023年1月に実施する予定です。この記事の内容を拡大し、ガイダンスの説明、当社の解釈、医療機器製造業者のHFEプロセスに与える主な影響などを解説します。

Emilee Stanczykは、Emergo by UL、ヒューマンファクタリサーチ&デザイン(HFR&D)部門のマネージングヒューマンファクタスペシャリストです。

X

Emergo by ULのエキスパートにご相談ください

お問い合わせありがとうございます。以下にご記入をお願いします。内容に応じて担当者が対応いたします。

Please wait…