根本原因分析（RCA）を実施するためのHFR&Dプロセス

執筆者： Erin Davis

ユーザビリティ試験で発見された問題の根本原因分析（RCA）を徹底的に行うことは、安全で効果的に使用できる医療機器を開発する上で不可欠です。インタラクションの問題の根本原因を突き止めるために使用できるRCAにはさまざまな方法があります。Emergo by ULのヒューマンファクタの専門家が、使用関連の問題を分析し、根本原因を探るために採用している7つのステップをご紹介します。

1. 使用エラーを定義する

使用エラーにつながったイベントの順序を文書化し、正確な故障モード（例：手順をスキップした、手順を間違えた）を記述します。なぜ問題が起こったのかを突き止めるには、何が起こったのかを明確に理解する必要があります。

2. 根本原因を仮定する

これが根本原因かもしれない、と最初に感じたものがあるはずです。仮の根本原因としておきますが、今後変わる可能性があることを理解しておきます。

3. 事例証拠を分析する

使用エラーについて、テスト参加者は何を言っていたでしょうか？ 根本原因は何だと考えていましたか？ 参加者のフィードバックをレビューすると、使用エラーの詳細をより理解できるかもしれません。参加者はどの部分を見ていたのか、どのように決定に至ったのか、そして、該当する場合、混乱させたインタラクションがあったのか、などを検証します。こうした詳細は、根本原因を突き止めるのに役立ちます。

4. ユーザーインターフェース設計の欠陥を調査する

ほとんどの使用エラーはユーザーが原因ではなく、ユーザーインターフェース設計の欠陥により引き起こされます。デザインのヒューリスティック分析やAAMI HE75などの参考資料を利用し、また、自身のヒューマンファクタ経験を活かし、ユーザーインターフェースをレビューして使用エラーの原因がデザインの欠陥と考えられるかどうかを考察します。

5. その他の要因を考える

使用エラーは、意図したユーザー、使用環境、特定の使用シナリオによく対応するように機器が設計されていないことが原因で起こる場合があります。例えば、救急救命士が患者の心拍モニターの値を読み間違えたのは画面のぎらつきのためだったのであれば、根本原因は、スクリーンのぎらつきを抑えていなかったことだといえるかもしれません。この場合、機器は意図した使用環境、つまり屋外での使用に適した設計になっていなかったということになります。これらの要因をもとに、他にも根本原因が見つかるかどうか検証します。

6. 最終の仮説を立てる

これまでの5ステップで特定したいろいろな根本原因をもとに、最終的な仮説を立てます。どのアイデアにも意味や価値はありますが、その中でも使用エラーの最大要因となる、他よりも説得力のあるアイデアがいくつかあるはずです。それが根本原因です。

7. 結果を報告する

ユーザビリティ試験レポートに根本原因分析を記述します。根本原因の1つにつき、タイトルと2～3文の説明を加えるのがよいでしょう。利害関係者のニーズによって、どの程度詳細にするかは調整してください。

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